前回紹介した革クラフト工房は、養護施設としての機能も担っていました。工房の窓に掛かっている青い幕に見える「Little Angels」が、施設の名称です。工房の中では、少年たちが革細工をしていました。彼らの多くが、この施設で暮らしているのでしょうか。
青い幕には、革細工に関する作成手順等が写真で示されていました。写真を拡大し、順番に見ていきます。まず、Making Tools、 革細工に必要な道具作りを行います。Natural Colorとは、革細工の彩色に、自然の植物を使用しているということでしょう。Making Leatherは、革をなめす作業、そしてCarviing、革を彫る作業と続きます。
最後はDye、彫りあがった革細工に色を染めていきます(左写真)。右写真が、彫りあげた革細工に刷毛で染料を塗った状態のものです。
工具や電動やすりなどが置かれている場所もありました(左写真)。通路奥にある大きなカマドでは、革を染める染料を煮出していました(右写真)。
ガイドさんが手にしているのが、染料用の植物です。このカマドは染料を作るためのもので、食事のためのかまどは、別の所にありました。
「姓名刻」と書かれた革細工の見本帳がありました。ここでは、スバエク(影絵芝居)に用いる以外の革細工技術も学んでいるようです。
工房のすぐ横に、机といす、そしてホワイトボードが設置された教室がありました(左写真)。本棚には、クメール語の絵本、デザインの本、写真集、教科書などのほかに、日本語や英語など外国語の本もありました。外国語の本は、ここを訪れた観光客がおいていったもののようです。
養護施設Little Angelsは、スバエクの技術を習得した男性が設立したもので、施設で暮らす子どもたちと一般の子供たちの両方に、牛革彫刻の技術を伝えているそうです。
写真/文 山本質素、中島とみ子