国道6号線の南、北から南へと流れ下るシェムリアップ川が、緩やかに南西へ流れを変える場所に、オールドマーケット橋が架かっています。オールドマーケットは、その橋の北側にあります。東西100m南北80mの大きな建物は、いくつもの棟が連なって1つの建物になっていました。オールドマーケットの四方は道路で囲まれていて、東西南北それぞれの表情を見せていました。
マーケットの正面は、シェムリアップ川に面した南側のようで、観光客用の土産物を中心に、たくさんの品物が道路沿いに並んでいます。
歩道に沿って歩いていくと、暖簾のようにたくさんの干物が下がっていました。よく見ると、サラミのような肉の燻製と、カンボジアではレイ・ギアットと呼ばれる魚の干物でした。
午後1時半すぎ、西側の通りでは、女性が屋台の準備をしていました(左写真)。右写真の奥にシェムリアップ川の歩行者専用の橋の屋根が見えています。マーケットの向かい側には、フランス風の建物が建っています。この西側の通りは、北へ進むとシバサ・ロードに交わり、夕方になるとナイトマーケットやパブストリートを訪れる人たちでにぎわいます。
北側には、前回紹介したRINA RINO レストランなど、食堂や食料品の店が黄色い日よけシートを連ねて並んでいます(右写真)。
東側は、ホウキ・ブラシ、バケツ、ノコギリなど種々雑多な日用品が並んでいます(左写真)。右写真には、歩道際にサンダルが並べられ、その上に袋に入ったシューズやリュックなどがぎっしりと掛かっている様子が見えます。女性が店番をしている横は、市場の中への通路になっていました(2014年9月撮影)。
下2枚の写真は、市場内の通路と両側の店の様子です。奥に見える蛍光灯の明かりが、生鮮食品売り場です。生鮮食品売り場に近づくにつれて、あたりの空気がひんやりとしてきました。
オールドマーケットの建物の奥(中央)は、魚売り場になっていました。大きなタライにエビや魚が盛られ、その上に氷が置かれています(左写真)。生きた雷魚も、あちらこちらで売られていました(右写真)。雷魚は、カンボジアの料理には欠かせない魚で、アモック(魚のココナッツカレー蒸し)にも使われ、また、干し魚にも加工されているようです。
魚売り場には、台の上に坐り、丸いまな板を前にして魚を開いている人たちがいました。ホテルや食堂におろすための調理なのでしょうか(左写真)。小さな巻貝が山積みになっている奥でも、まな板を前に作業をしている女性がいました。手前の赤いプラスチックのタライの中では、雷魚が泳いでいました。
長靴をはいた女性を見かけました。魚売り場周辺の通路が水浸しだったので、融けだした氷が流れ出しているのかと思いましたが、魚介類が並ぶ台の縁には、ブルーの水道管が通っていました。通路の途中には排水口も造られていました。魚売り場は、外気温の影響を受けにくい奥にあり、さらに水を流すことによって温度を低く保っているようでした。魚介類売り場のそばに、鶏肉売場がありました。ここでも女性がまな板の上に鶏を乗せて、作業をしていました(左写真)。
マーケットで働く人のほとんどは女性です。右写真の女性は、傍らに小さい子供を昼寝させながら、仕事をしていました。
青果売り場もありました。果物売り場の向こうに見える明かりは外の日差しです(左写真)。果物の並ぶ一画では、デザートが食べられるようになっていました。この時も、若い女性たちが好みのものを注文していました(右写真)。
オールドマーケットは、道路に面した建物の外側には、日差しを考慮した店や売り場が並び、建物の内側は、天然冷蔵庫のような魚介売り場を中心に、肉や果物などの生鮮食品が周りに広がっていました。
写真/文 山本質素、中島とみ子